実は竜王プラキドサクスは、暴竜ベールって奴と戦ってあんなにボロボロになっていたらしい。
かなりいきなり出てきた設定だと思う。
え? なにそれ?? て思ったのは筆者だけではない筈。でもベールカッコ良かったし、エーゴンのイベントは熱かったです。そこは認める。特にベールの何か派手な飛行ブレス。あれこそドラゴン! て感じでめっちゃカッコよかったです。なんであれ使えないの!
そんな感じでベールについて考察。まあこれはあんまり考察する事はないので、ちょっとした確認作業みたいなものな気がしますけども。
でも何と言うか、エーゴンのイベントからは、影の地の根幹に関りそうな設定の雰囲気も感じた。だからまあ、不要な気はしたが考察はしてみようと思う。
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勝者のプラキドサクス、敗者のベール
まず本編で登場した竜王プラキドサクスだが、かなりボロボロになっていた。
そして古き王のタリスマンや、ちぎれた首の根元が二つある事などから、プラキドサクスは元は4つ首だったのではないか? てのはわりと言われていた。
で、DLCでその通りだってのが開示された。
しかし頭を千切った相手って奴がおかしくて、何と暴竜ベールって新キャラだった。当然だが、本編では影も形も無かった設定のキャラだ。それぐらいのレベルでの新キャラ。
まあそれは良いとして、面白いのはここで開示された情報。
本編に登場する飛竜も含め、飛竜とは暴竜ベールの一族であった。そして暴竜ベールが竜王プラキドサクスに反逆し、敗れたため竜餐の贄となった、て事。
めっちゃ重要情報がさらっと開示された。この情報は竜餐の大祭壇にいる、古竜フローサクスから聞く事が出来る。以下が会話。確認後、纏める。
戦士よ
竜の力を、食らいませぬか?
最も古く、凶なる竜の、滾る心臓を
…それは至高の竜餐
きっと貴方の、飢えを満たし…
ひとつの竜と為すでしょう
竜の力を食らう、と答える。と、以下の会話が続く。
よき、答えです
ならば、あのギザ山にむかいませ
最も古く、凶なる竜…、ベールがそこにおります
人の戦士よ。欲するままに、あれを斬り、屠り…
滾る心臓を食らいませ
貴方に、そのための力を渡しましょう
我が王、プラキドサクスの名のもとに
ベールについて聞く、で会話が継続。
…ベールは、古き時代、竜の王に背いた反逆者
王に挑み、大きく傷付け、遂には破れた凶竜
…いと憎き我らの仇
以来ベールと、彼の一族…飛竜たちは、竜餐の贄となったのです
人の戦士よ。我が王、プラキドサクスが、貴方たちに示したのです
猛き心、その飢えを満たす贄を
その小さな身に、竜を宿す高揚を
こんな感じ。
アクションRPGやってるな、って感がある。凄く好き。
まあそれは置いておくとして、会話を纏めるとこんな感じになる。
①ベールはプラキドサクスに挑み、破れた。
②ベールはプラキドサクスに挑み破れたが、プラキドサクスを大きく傷つけた。
③破れた結果として、ベールと彼の一族は竜餐の贄となった。
④ベールを食らう事が至高の竜餐。つまりベールは一番強い。
まあこんな感じ。そしてエーゴンのイベントなどで分かる様に、ベールはプラキドサクスに挑んだ結果としてボロボロになりながら、竜餐の戦士たちを現在進行形で撃退し続けている。
対してプラキドサクスは、ファルム・アズラの中心に座している。
やはり基本的な構図としては、勝者のプラキドサクスと敗者のベールって感じだろう。
ちなみにプラキドサクスは首が二つ捥がれ、体中がボロボロではあるものの首二つ以外には四肢や翼に欠損はない。対するベールは左足の欠損に加え、両翼が欠損している。辛うじて腕の骨が残った右翼に炎雷を纏わせる事で攻撃を行っているが、他に居る飛竜の骨格を考えるに、本来は腕を叩きつける攻撃の筈。
そんな感じで、ゲーム的にはプラキドサクスよりもベールの方が強いのだが、肉体の欠損具合を考えるにプラキドサクスとベールのどちらが勝者であったのかは割と明確になっている。つまり設定的には割と明確にプラキドサクスが勝者。
竜餐についてこそ設定が掘り下げられたのだが、なら考察も糞も無いじゃん、で終わりなのだが、ベールとエーゴンは結構大事な設定がある様に思う。次の項目で語る。
エーゴンとベールのイベントを考察
考察するならここしかない、てのがベールとセットになっているNPC、エーゴンについてだ。
こいつはベールに挑み四肢を破壊され、恐怖を植え付けられた壊れた竜の戦士(自称)だ。また竜餐祈祷を使っているのが確認できるので、竜の戦士とは竜餐の戦士であったのだろう。基本的に竜餐祈祷は竜を倒してその心臓を食らわなければ覚える事が出来ない。
そしてプレイヤーがギザ山を進み飛竜を倒すと、エーゴンに彼の鉤指を託される。その際の会話が以下だ。
おお、竜の戦士よ。
儂の願いを聞いてくれ。
…儂の指を、持って行ってくれ。
そして、あのギザ山に登り、暴竜ベールに対したその時に…
呼んでくれ。儂の魂を
四肢を壊され、あまつさえ、二度も恐怖を植え付けられ
それでも、儂は竜の戦士だった
魂は、あの山に置いてきた
魂は、あの山に置いてきた。
これがかなり重要なワードだ。
まず魂って置いてこれるものなの? て疑問はあるのだが、置いてきたと言っている以上は置いてきたのだろう。そこを疑っても仕方ない。
ただプレイヤーが会話する事が出来るエーゴンと言う実態のあるNPCは、少なくとも両足は動かないのだろう事が窺える。ちなみにこんな感じ。
壊れた、の程度が分からないのだが、筆者には足が無いように見える。
またエーゴンはプレイヤーの前で一度も立つ事が無い、てのも想像を裏付けるように思える。しかしこのエーゴンだが、魂はあの山に置いてきた、と言った通りに、ベールとの戦闘時に呼んだエーゴンは立っているし、歩いている。つまり足があるのだ。
竜の戦士としての魂をあの山に置いてきた、と言う意味にも取れるが、おそらくそうではない。何故ならエーゴンは、エーゴンの銛を使用しているからだ。
以下がエーゴンの銛のテキスト。
壊れた竜の戦士、エーゴンは
激痛の中で、一本ずつこれを作った
暴竜ベールに、恐怖を植え付けるために
つまり、時系列がおかしい。
壊れた竜の戦士、エーゴンが作った。つまりエーゴンの銛は、ベールに敗北した後のエーゴンが作った武器なのだ。そして戦灰「エーゴンの竜狩り」のテキストは以下になる。
竜の戦士、エーゴンの戦技
大弓を半身に構え、咆哮と共に捻り射ることで
その攻撃力を大きく高める
この戦灰でのみ、エーゴンは、壊れた竜の戦士ではなく、竜の戦士と表現されている。
つまりエーゴンにも時系列がある訳だ。
エーゴンの防具テキストも合わせてみる。以下はエーゴンの兜のテキスト。
みすぼらしい戦場漁りは
竜餐により誇りを得たのだ
つまりエーゴンは、最初は戦場漁りをするようなみすぼらしい人間であった。
そしてその後、竜餐により竜の戦士としての誇りを得た。
最後にベールに挑み、破れた。そして竜の戦士として壊された。
ここで一先ず注目できるのが、エーゴンの発言を聞くに、ベールはエーゴンを嬲ったと思われる事だ。つまりエーゴンの言う二度も恐怖を植え付けられたというのは、一度目は竜の戦士として敗北した巨大な敵への恐怖。そして二度目が、おそらく嬲られる事によって四肢を破壊されたというベールという個体に対する恐怖である可能性がある。
実際、どうやって戻って来たのかは結構謎ではあるのだが、これはエーゴンをベールが敢えて生かした、と考えるとある程度の納得は出来る。もしくは、近くで侵入してくる古竜人がエーゴンをここまで運んだか。まあ、あまり深堀するつもりはないのでそこら辺は置いておこう。
重要なのはエーゴンはベールに恐怖している自覚があり、竜の戦士として壊れてしまった自覚もある、と言う事だ。しかしエーゴン自身が言っているように、エーゴンはまだ生きている。
直接的な疑問なのだが、なぜベールはエーゴンを殺さなかったのだろうか?
四肢を壊して嬲ったのも、恐怖を植え付ける気分だったと言われるとそれまでではある。しかしもっと直接的に殺してしまえば、そもそも恐怖を植え付ける必要などない筈だ。つまりベールにとって、エーゴンを嬲り恐怖を植え付ける行為には何かしらの意味があったのだ、と仮定できる。
エーゴンと会話した後、フローサクスにエーゴンの事を聞く事が出来る。以下、会話文。
…その名は、覚えています
壊れてしまった、竜の戦士
そしてなお飢え、猛き心を燃やす人
我が王が、貴方たちに竜餐を示した由は
まさに、あのようなあり様なのでしょう
若きがゆえの、そして卑小がゆえの、燃え尽きぬ飢えと、猛き心
それは、あのベールにも似て…
老いた我らに、到底抱き得ぬものです
ここで気になるのは、フローサクスがエーゴンを覚えている事だ。
その名は、覚えている。そう言っているように、おそらくフローサクスにとってエーゴンは特別だった。そして特別だった理由は、壊れてもなお、猛き心を持っていたから。
この会話は、おそらくベールが非常に若い個体である事も暗示している。そして同時に、猛き心と燃え尽きぬ飢えを持つベールもまた、特別であると示されているように見える。
そしてこれが面白いのだが、ベール戦で召喚できるエーゴンの名前は「竜の戦士、エーゴン」である。少なくともエーゴンは、ベール戦の時には壊れていないのだ。
だが、これがおかしい。ベールに敗北し四肢を破壊されてから、エーゴンは銛を作った。これつまり、竜の戦士エーゴンは銛を持っていない筈だ、とも言える筈だ。順番がおかしい。
つまりエーゴンが破壊される前の、まだ竜の戦士であったころ。つまり昔を基準として魂を置いてきたのであれば、エーゴンはエーゴンの銛を持っていない事になる。もっと言えば、戦闘中のような再びベールに挑んでいるのが確定しているセリフを叫ぶこと自体がおかしい。
逆に今を基準に考えると、そもそもエーゴンが二本足で立っているのがおかしい。何故なら、現実のエーゴンは歩く事が出来ないのだから。
つまり両方合わせて考えると、エーゴンはかつての竜の戦士であった頃の魂としてそこに立ちながら、壊れた竜の戦士エーゴンの知識や執念を持ち出して、ベールと戦っているとしか思えない訳だ。
これが影の地特有の現象の可能性もあるのだが、少なくとも肉体の死は、その個体としての死を意味していない可能性があるのだ。そして恐らくなのだが、その事をベールは理解していた。だからこそ、自身と同じ猛き心と飢えを持つエーゴンと言う竜の戦士が、肉体を滅ぼしても自身に食らいついてくる事が分かっていた。故にもう二度と立ち向かえないよう肉体を破壊し、更に肉体に刻まれた恐怖で魂の身動きが取れないようにしたのではないだろうか?
なぜ肉体の死が魂の死を意味しないのかベールは理解していたのかだが、これはベールの戦闘中に何となく垣間見ることができる。
ベールは体力が削れると、雷のようなもので作られた翼を展開して飛翔や攻撃出力の増加などを行うようになってくる。
激烈カッコイイですよね。中二心を擽りすぎる。
まあ見て欲しいのはカッコよさじゃなくて、翼の形状と翼が生えている箇所。
まず背中から翼が生えている。そして翼の形状から見るに、おそらく元となって居るのは、今は杖か腕のように使用している前腕だろう。そして、そうだとすると、やはりおかしいのだ。
見えにくいのだが、分かるだろうか。
ベールの背中には、翼に見える骨格は存在しない。つまりプラキドサクスによって根元から千切られた翼を何かしらの能力によって再現している訳ではなく、この雷の翼のようなものはベールが新たに作り出しているって事になる。
エーゴンと同じだ。ベールも、今の肉体とは全く別の不思議な力によって現実へ干渉する事が出来る。エルデンリングのDLCっぽく言えば、自身の思う魂の形を、今の肉体に状態に降ろしている、と言った方がそれっぽいかもしれない。
要するに両者の共通点は、気持ちのみで自身のイメージする肉体を一定時間具現化しているような描写が見て取れる訳だ。
ちょっとメタ的な発言になるが、エーゴンの魂(あえて霊体とは言わない)はベールを撃破すると「お前はもう、我が恐怖ではないぞ」と絶叫と共に消滅する。そしてエーゴンは、ギザ山の麓にて死体となっている。
そしてギザ山は非常に高い位置にある。そして、ベールとエーゴンが戦うのはギザ山の山頂だ。
肉体を捨て、神として帰還したミケラが降り立ったのは神の門だ。そして神の門は、非常に高い位置にある。何となく繋がりそうな気もする。
ただまあ、ベールとエーゴンの戦いはこれで完結しているのだろう。
一度敗北し肉体を破壊された戦士が、魂だけとなって強大な竜をその猛る魂ごと打ち滅ぼす。
とても分かりやすい英雄譚である。
付き合ってくれてありがとう!