以前にお勧めしていた伊藤園優先が少し値上がりしていたので、利益確定の考え方について記事にしてみます。
個人的には「1年で3%勝てれば一流」という常識を忘れて欲しくはない気がする。
たぶん、みんな忘れてる。
※「投資」や「金融商品(株式や債券など)」について、筆者の個人的視点を組み入れながら考察を上げています。
ですが「金融商品の購入」は、全て【自己責任】でお願いします。
「買ったから/売ったから、損をした」系統の批判は一切受け付けられませんので、その点はご了承ください。
-Contents-
簡易版記事
何をもって割安とするのかを今一度考えた方が良い。
1年後に倍のストーリーは夢があるのだが、普通に経営をして普通に配当を出している会社、というのは今一度意識した方が良い。
ソフトバンクの動きには注意を払った方が良い。
今だからこそ、スコット・マクニーリーの言葉を思い出して欲しい感はある。
大体こんな感じの記事です。
今だからこそ思い出したい、スコット・マクニーリーの言葉
Sun Microsystems(サン マイクロシステムズ)という会社がありました(今はオラクルに吸収合併されており、存在しません)
この会社は超ザックリ言えば、ネットワークステーションを独自開発していた会社です。
もう少しだけザックリ言えば、インターネットを動かすための機器を作っていた、って会社でした。
そして、かつてドットコム・バブルという狂乱が有りました。
光通信って会社が1998年12月に0.695万円(6950円)から、1999年9月に8万円前後まで伸び、2000年2月には24.1万円まで急伸した、というあのバブルです。
40倍。なんかどこかで聞いた事がある話に見えますね。
ちなみに、2002年7月には今の光通信の株価は895円まで下落して、2026年10月12日現在は3.7万円です。
そして今回したいのは、サンマイクロシステムズの話。
それも、ドットコム・バブルが崩壊した後の話です。
2002年3月31日のインタビューにて、サンマイクロシステムズのCEOの一人である、【スコット・マクニーリー】という人が行ったインタビューで、自社株の乱高下について次のように述べた事がある。
売上高の10倍で、10年で投資回収するには、10年間連続で売上高の100%を配当金として支払う必要があります。
これは、株主からその資金を調達できるという前提に基づいています。
また、売上原価がゼロであるという前提ですが、コンピューター会社にとってこれは非常に困難です。
さらに、経費がゼロであるという前提ですが、従業員3万9000人を抱えている会社にとってこれは本当に困難です。
税金を一切支払わないという前提ですが、これも非常に困難です。
そして、配当金に税金を一切支払わないという前提ですが、これはある意味違法です。
さらに、今後10年間研究開発費をゼロにしても、現在の売上高水準を維持できるという前提に基づいています。
さて、これらを踏まえて、64ドルで私の株を買いたい方はいますか?
君たちは、その基本的な前提がいかに馬鹿げているか分かっているのか?
透明性なんて必要ない。
脚注も必要ない。
一体何を考えていたんだ?
はい、面白いぐらい正論で笑えてしまいます。
以下に原文がそのままありますので、興味がある方はどうぞ。
スコット・マクニーリーが言いたいのは、「株価が高すぎる」って話じゃないと思います。
売り上げの10倍という株価を正当化するためには、売上の100%を10年間配当に回せる、という非現実的な前提が必要になる、というシンプルな話だと筆者は認識している。
というわけで、この話を含めて伊藤園の話をしていきたいと思います。
利益確定のタイミング
実は株ってのは、持ち続けるよりも利益確定のタイミングの方が難しいよ、という話。
伊藤園優先株式については、地味に下落時に買い増ししてました。

前回薦めた際には1797円が平均取得だったのですが。

2026年10月12日現在だと、平均取得単価1793円で1500株です。
これは「安いなと思ったので買い増しをして、平均取得単価が下がりました。
で、2026年10月5日~10月9日までの謎上げ期間を経て、株価も結構上がりました。
取得単価1793円に対して、現在株価は1909円。
ザックリですが、6.5%程度の値上がりになります。
というわけで、質問です。
読者の皆様は、この6.5%の値上がり(正確には17.4万円の利益)を「利益確定するべきだ」と思いますか?
個人的には「持ち続ける」でも「確定する」でも良いと思ってます。
これは勿論、伊藤園第一種優先株式だから、どっちでも良い、というものです。
伊藤園という会社は、従業員への給料や研究開発や配当を払いながら、現在の株価を維持しています(普通株式が3100円程度、優先株式が1900円程度)
で、普通株式は配当が約1.5%程度なので、かなり割高に見えます。
優先株式の配当は約3.3%程度なので、割高ではありませんね。
ここに、スコット・マクニーリーの計算を借りてみましょう。
普通株の配当利回りは約1.5%。
配当だけで投資額を回収するには、単純計算で約67年かかります。
優先株の3.3%なら約30年。
もちろん、株の価値は配当だけで決まりません。
利益が伸びれば株価も配当も上がります。
ただ、「1年後に倍」のような話をするなら、それを支える利益や売上の成長が必要です。
従業員に給料を払い、研究開発をし、税金も払い。
そのうえで1.5%(あるいは3.3%)の配当を出している会社。
あなたはこの株を、3,100円(あるいは1,900円)で買いたいと思いますか?
要するにこれです。
そしてこうやって見れば、「どの程度のスパンで伊藤園という会社の株を所持したいのか」という話になってくる訳です。そして、これが「利益確定」の話に繋がります。
3年以上持つ気があるなら、今利益確定させなくても良い
話をシンプルにしましょう。
今現在の利益が、+6.5%です。
具体的に言えば17万円ぐらい。
そしてこれを配当利益だけで考えるのであれば、約2年分の儲けに相当します。
つまり、約270万円程度つぎ込んで2年間の資金拘束が発生して、確保できるのが17万円ぐらいって話です。
つまり、この1か月で2年分(24か月分)相当の利益を出しているのだから、利益確定しても問題ない、ともいえる訳です。何も間違っていません。
ですが同時に、こうも言えます。
年間3.3%の配当利回りを「伊藤園 第一種優先株式」以上の確度で払ってくれる金融商品というものを見つけられないのであれば。つまり、伊藤園優先株式を3年以上(36か月以上)保有するつもりならば、今売る必要は全くない、ともいえる訳です。
そして筆者は、以前に「年利2.5%を超える金融商品であれば、労働よりも効率が良い」と発言した事があります。
以下のリンクです。興味があればどうぞ。
この感覚に則るのであれば、売る必要ってのはありませんね。
ですが人間不思議なもので、「1か月で6%値上がりしたなら、1年後には20%ぐらい値上がりしているかも」とか。「10年経てば倍は固いな」みたいな楽観的な観測が出てしまうものです。
経験則って名前の未来予測や効率化ってのはそういうものだから、こう思ってしまうことは仕方ないです。
なので、もう一度スコット・マクニーリーの言葉を思い出してください。
株主から資金調達できている。
従業員に給料も払っている。
研究開発も行っている。
税金を払ってもいる。
この上で、配当を1.5%(あるいは3.3%)程度払っている。
あなたはこの株を、3100円で(あるいは1900円で)買いたいと思いますか?
買って値上がりを期待したいですか?
売って利益にしたいでしょうか?
ここまでは「配当」という物差しで見てきました。
ここでは物差しを増やして、「利益」でも見てみます
ちなみにこれ、伊藤園の普通株式のPERは20倍を超えています。
優先株で10倍ぐらい。
PERは、今の利益が続く前提を置けば、株価の元を利益で取り戻すのに何年かかるかの目安です。普通株式は約20年分、優先株式は約10年分の利益に相当する値段がついている、ということになります。
配当で見れば、回収に67年(普通株)と30年(優先株)。
利益で見れば、20年と10年。
配当は利益の一部しか株主に出ないので、利益で見たほうが回収年数は短くなります。
では、この株価が2倍になるには何が必要でしょうか。道は2つ。
・利益が2倍になる
・利益は同じでも、市場がより高い値段(高いPER)をつける。
前者は事業が倍になる話なので、簡単ではありません。
後者は「みんながそう評価したから」という世界で、理由は後から付いてきます。利益率の改善や株主還元の強化が評価されることもあれば、何かのきっかけで急に評価が上がることもあります。ここはもう分からない世界です。
ただ、後者に期待して持つのであれば、マクニーリーの「一体何を考えていたんだ?」に、自分の言葉で答えられる状態でいたいところです。
すこし難しい話をしてしまいました。
何にしても、伊藤園優先株式の利益が1か月で6.5%に膨らんでいるという話です。
さて、あなたは優先株式を持っています。
どうするのが正解でしょうか?
本当にどっちでも良いと思いますが、株式の利益確定が難しいってのはこう言うことの連続だからです。
そしてこう言うことを考えたくないからバイアンドホールドを取るのだと言うのなら、その戦略は危険だ、と主張したい訳です。
以前に紹介したようなTIPSのような投資商品もありますし、日本の10年物国債だって2026年10月12日現在、年利3%超えてます。アメリカの30年物国債だって、2026年10月12日現在だと5.5%超えてます。
何故債券ではなく、バイアンドホールドというリスクを冒してでも「株」を買うのか。
株でなければならないのか、には今一度目を向けて欲しい感じはします。
※一応言っておけば、筆者はS&P500のバイアンドホールドには否定的です。
考えずに勝てる戦いなんて存在しないと思ってます。
日経平均が1989年の高値を更新するまで、30年以上かかった事実を忘れたくない。
「過去40年伸びたから、これからも伸びる」は、経験則としては自然だと思います。
ただ、過去の40年は、将来の40年の保証ではない、とだけ覚えておいてほしいのです。
ソフトバンク社債も違って見える筈
ここまでは、以前に紹介させてもらった伊藤園という「普通の会社」の話でした。
では、ここに「普通ではない期待」がかかっている会社はどう見えるのか、を考えてみましょう。
今話題のAI関連の話に同じ物差しを当てればどうなるのかを考えるのは、かなり面白いです。
というわけで、ソフトバンクの話です。
筆者は以前にソフトバンクがOpenAIにベッドしてて面白い、という話をしました。
1.8兆円規模の社債を起債したのだが、どうやら1.8兆円程度では満足できないらしい。
中東投資家に最大16兆円のAI資金を集める話を打診している、というニュースが出ている。
「個人ではなく、世界から集める段階に入った」と発言した、とも報じられています。
面白いですね。
ちなみにですが、OpenAIはまだ赤字です。
なんなら2026年から、2030年までにフリーキャッシュフローで43兆円の赤字になるという見通しもあります。
要するに、「最低でも追加出資で43兆円必要(膨らむかもしれない)だし、黒字になるまで最低でも4年かかる」と経済紙が見通しを立てている訳です。
まあ、これはOpenAIが直接発表した数字ではないので、実際にどうなのかってのは分けて考えるべきですが。
そして、OpenAIよりも本命だと言われているアンソロピック(AI:Claudeの会社)が2026年の11月に上場を希望していると報じられています。ですが、アンソロピックだって明確に黒字化や収益化の見通しが立っている訳ではありません。
ですが、AIは世界を変えるから、儲かる、とみんなが言ってます。
インターネットも世界を変えましたし、Googleなんかもめちゃくちゃ儲かってますね。
ですがその陰で、ひっそりと幕を閉じた優良企業も無数にあります。
改めてサンマイクロシステムズを思い出して欲しいですし、スコット・マクニーリーの言葉も面白く聞こえますね。そんな感じなので、最後に彼の言葉で締めましょう。
売上高の10倍で、10年で投資回収するには、10年間連続で売上高の100%を配当金として支払う必要があります。
これは、株主からその資金を調達できるという前提に基づいています。
また、売上原価がゼロであるという前提ですが、コンピューター会社にとってこれは非常に困難です。
さらに、経費がゼロであるという前提ですが、従業員3万9000人を抱えている会社にとってこれは本当に困難です。
税金を一切支払わないという前提ですが、これも非常に困難です。
そして、配当金に税金を一切支払わないという前提ですが、これはある意味違法です。
さらに、今後10年間研究開発費をゼロにしても、現在の売上高水準を維持できるという前提に基づいています。
さて、これらを踏まえて、64ドルで私の株を買いたい方はいますか?
君たちは、その基本的な前提がいかに馬鹿げているか分かっているのか?
透明性なんて必要ない。
脚注も必要ない。
一体何を考えていたんだ?
株価に夢を乗せるのは自由です。
ただし、その夢の前提に何があるのかは、自分の言葉で説明できるようにしておきたいとは思います。
最後まで読んでくれてありがとう!



