関係ない楽曲に著作権を主張してくる「Believe Music」とは?

Believe Musicとは何者なのか

皆さんは Believe Music という団体をご存じでしょうか。他者の著作物や著作権フリーになっている楽曲をYouTubeの Content IDに登録し、広告料をだまし取る活動を続けているフランスの詐欺集団です。

会社設立は2005年。表面上は音楽に関する活動をしている組織です。しかし裏では自身と無関係な著作物に対して著作権を主張する著作権・トロールとしての顔を持っています。

◆参考:著作権・トロールとは(weblio辞書)

この違法組織は何年も前から他人の著作物や著作権フリーのものを自身の著作物として詐称し、広告料をかすめ取る活動を続けています。そのため海外では訴訟沙汰になるなど、色々と問題を起こしてきました。

Believe has been accused of copyright trolling, particularly on YouTube, where it has been alleged to engage in claiming copyright for works that are either copyright free or that they do not own the rights to.[5][6][7] The company was the subject of a New York federal lawsuit alleging that they were behind large scale, willful copyright infringement.[8]

Believe Digital とは(https://en.wikipedia.org/wiki/Believe_Digital

和訳:Believeは主にYouTube上で、著作権フリーあるいは著作権を所有していない作品の著作権を所有していると主張する著作権・トロールで告発されている。同社はニューヨーク連邦訴訟の対象となり、大規模で意図的な著作権侵害の背後にいたとされた。

よそ様の著作権ってそんなに簡単に奪えるもの?と思うでしょうが、YouTubeに関しては案外簡単にできてしまいます。それがYouTubeの著作権管理システム Content ID です。

Content IDとは

YouTubeには Content ID というシステムを利用して自身の著作物を「管理」する機能があります。

YouTube上にアップロードされた動画は、この Content ID に登録されたファイルのデータベースと照合され、同じものであると特定された場合 Content ID の申し立てが自動的に行われます。

著作権者として登録された者は該当する動画に対して以下の行為を行えます。

  • 動画を閲覧できないようにブロック
  • 動画に広告を掲載して収益化する(分配も可能)
  • 動画に関する情報を追跡する

本来、この機能は「自身の著作物が不正に使用されないため」に使われる機能です。著作権者はこのContet IDシステムを利用することで、安全に自身の著作物を守ることができるからです。

しかしそれはあくまで適正に使用された場合のみです。このContent ID、他人の著作物を自身の著作物として登録することが出来てしまうんです。

そうなると話が変わってきます。

Content IDへの虚偽登録

Believe Music を始めとした詐欺団体は著作権フリーのものや他の著作権者のコンテンツのうち、まだContent IDに登録されていないものを自身のものとして登録し始めます。

そうするとContent IDには、詐欺団体の虚偽申告によって、いろんな楽曲が「彼らが著作権を所有するものとして」登録されていきます。

Content IDを利用した著作権詐欺のイメージ図

Content ID登録後、クリエイターが投稿した動画にはContent ID の申立てが発生します。その場合、多くは上図のように詐欺集団に広告収入が入るような形へと切り替えられるでしょう。

Content IDにひっかかったからといってチャンネルにペナルティが発生するということはありません。しかし全く無関係の第三者が広告料を掠め取っていくというのは気持ちの良いものではありませんよね。

仮に利用権限(ライセンス)があった場合や自身が著作者の場合であっても、こちらから異議申し立てをしない限りこの状態は継続されます。何か良い案は無いのでしょうか。

YouTubeに通報してみるのは?

「不正利用しているのだからペナルティを与えるべき…そうだ、YouTubeに通報しよう!」と考える方がいるかもしれません。しかしこれは無意味です。

仮にYouTube側に「このような団体がいるよ」と連絡しても、意味の通らないテンプレ回答が機械的に返って来るだけです。なぜならYouTubeは著作権で揉めた場合は仲裁をしないと決めているからです。

◆参考:著作権について理解する(YouTube)

過去、自身が作成したリミックス曲に対してBelieve Musicが著作権を主張してきたことに対しYouTubeに苦情を入れた方がいました。しかしYouTube側からの真摯な対応はありませんでした(↓記事参照)。

おそらくですが、著作権に関する争いに参加してもYouTube側には1円の儲けも発生しないため「面倒くさいから当事者でなんとかしてよ!」というスタンスなのだと思います。

従ってこの問題はYouTubeには期待せず自力で解決する必要があります。

自分の動画が狙われた時の対処法は?

このような違法組織に狙われた場合、2つの方法があります。1つは相手の主張を受け入れて従うこと。もう1つは相手の主張を退けて戦うことです。今回は後者のやり方を説明します。すなわち異議申立てです。

YouTube Studioの管理画面から自身のコンテンツを開き、制限の項目を見ましょう。もしあなたの動画が狙われている場合、『著作権侵害の申し立て』というのが見つかると思います。

違法業者はLIVEコンテンツに来がち。配信をよくやるなら定期的にチェックしよう

マウスを近づけるとポップアップで動画の状態が表示されるので、一番に下にある『詳細を表示』をクリックします。

内容をよく読み、必要事項を確認したらチェックボックスをチェック。そして『次へ』を選択します。

異議申立ての確認項目はすべて目を通すこと

コンテントID申し立てに異議を申し立てる理由を聞かれるので自身が該当するものを選択してから『次へ』を選択。

異議申立てをするのに正当な理由を選ぶこと

あとは必要に応じて相手方に伝える情報を記入。チェック項目をすべて選択したら自分の署名(※本名)を入れて『送信』です。

タイプの選択内容
オリジナルコンテンツ自身にすべての著作権がある場合の申請方法
ライセンス著作権者から利用許諾を得ている場合の申請方法
フェアユースフェアユース法(米)に準じる使用の場合の申請方法
パブリックドメイン知的財産権を行使する者がいない場合の申請方法

これで相手方に異議申し立てを行うことが出来ます。相手方が了承すれば著作権侵害の申し立ては撤回され、その旨YouTubeから連絡があります。

それでも相手が異議を取り下げない場合は?

異議を申し立てても相手がそれに応じない場合があります。

もともと違法行為で稼ぐ目的で活動している詐欺団体であればこのように異議申し立てを却下してくることも考えられるでしょう。その場合はさらに異議申立てを行うことが出来ます。

やり方は先ほどと同じような形になります。一点、違う点は一回目は署名だけで良かったのが二回目は住所や氏名などの個人情報を開示する必要があるという点です。

不正行為を働いている相手にこちらの個人情報を渡すなんて…と思うかもしれせんが、そこは堪えてください。このようなシステムを放置し違法業者が有利になるような仕組みを長年残しているのはYouTubeです。

滞りなく手続きが終わると、こちらが再審査を要求していることが相手に伝わります。できるだけ「面倒くさそうなやつだな」と思わせるよう証拠などはしっかり揃えて提出してください。

実際にBelieve Musicと争ってみた

AYNUGAMESでも、YouTube活動中に Beleive Music をはじめとした著作権詐欺団体からContent IDの申し立てが来ることがあります。

さっそく戦ってみましょう。

対象となったのは2021年5月24日LIVE放送分、【ドルフロ】局地戦10日目!本日は初級も行きますよ★【LIVE】です。ここで使用されている楽曲の著作権はすべてVanguard Soundのものです。

ひっかかった楽曲は1-6除草行動などでも流れる名曲 MADE IN HEAVEN。製作者はVanguard Sound(上海)です。Believe Musicの主張は「この楽曲の著作権が自分たちにある」というものでした。

当然そんなはずはないので異議申立てを行います。

申し立ての種類を『フェアユース』とし、その内容を『ゲームプレイ』で申請しました。フェアユースの種類は色々ありますので、ご自身の動画の属性と用途に合わせて選んでください。

順序としては種類を選択→申し立ての理由(理由はしっかりと記述)→チェック項目の確認署名(チャンネル名ではなく本名)→送信です。これで異議申立てが完了します。

すると2週間ほどでYouTubeからこのような連絡がきました。内容は「相手はあなたの申立てを認めなかったよ」というものです。

そこで私は以下の内容を添えて再審査を請求しました。

  • この楽曲の著作権者はBelieve MusicじゃなくVanguard Soundだよ
  • Believe MusicがVanguard Soundの代理人でないことも把握しているよ
  • 同様の申立ては海外でも注目され話題を集めているよ(※Twitterのあれ)
  • 制作側のスタッフを経由して著作権者に連絡がいくように動いてるよ

すると24時間もせずにYouTubeから再びメールが。

申立てが撤回されました。

再審査請求の際に証拠となるものや各URLなどをバンバン張り付けておいたのが功を奏したのかもしれません。もう少し時間がかかるかと思いましたが、実際にはたった1日で終結しました。

もしYouTube上で活動しているクリエイターの方で身に覚えのない著作権の異議申立てを受けて困っている方は、毅然とした態度で挑むことで良い方向に進むのではないかと思います。是非参考にしてみてください。

おまけ:著作権詐欺集団はいっぱいいる

今回取り上げた著作権詐欺集団は Believe Music でしたが、このようなYouTube上でContent IDに虚偽の登録をすることで広告料をだまし取る手口は世界的に知られており、色んな業者が参加しています。

たとえば SourceAudio Holdings LLC という団体もBelieve Music と同様の手口で、自分とは無関係な楽曲や音声に対して著作権を主張してきます。

ただ SourceAudio Holdings LLC のやばいところはなりふり構わず登録しているところです。先日は日本の国会中継で、安部元総理と玉木議員がやり取りしている音声に著作権を主張していました。

そんなばかな!と思うかもしれませんが、著作権詐欺集団は本当にいい加減な団体が多いです。中には風が吹く「ひゅ~」という音(自然音!)に対して著作権を主張してきた団体もいました。

自然音がありならもう何でもありです。もしかすると彼らはこの地球そのものを作り上げた秘密組織だったのかもしれませんが、うっかり動画をセグメントしてしまったせいで確認することができなくなったのが悔やまれます。

まとめ

以上が違法組織 Believe Music に関する情報です。まとめますと

  • Believe Musicは他者の著作物であっても権利を主張してくる
  • その行為を助長するシステムがYouTubeの『Content ID』
  • YouTubeは著作権の仲裁が出来ないので助けてくれない

他人の著作物で悪銭を稼ごうとするBelieve Musicのような企業が少しでも減るよう、世の中が良い方向へ動くことを願いたいですね。

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